『まんがキッチン おかわり』刊行記念 福田里香さんインタビュー

ぽこぽこで2012年~2013年にわたって連載された「まんがキッチン おかわり」が、このたびめでたく単行本化! 『ガラスの仮面』から『進撃の巨人』まで、汲めども尽きぬまんが愛に形をあたえ、お菓子で作品の世界観を表現するという福田マジックがたっぷり味わえます。
刊行を記念して、福田さんに本書の魅力を語ってもらいました。

文=編集部 撮影=AKi ※お菓子写真は全て本書より。 ©福田里香/太田出版

2014年6月16日公開

おかわり! おかわり!

―― 第一弾『まんがキッチン』(アスペクト/2007年)の刊行から7年。満を持して、シリーズ第二弾となる『まんがキッチン おかわり』(以下、『おかわり』)が刊行されました。「おかわり」ということは、第一弾を出されたときに、「まだまだ語り足りないぜ!」という気持ちがあったのでしょうか。

福田 『まんがキッチン』の時点では、当時フード的にベストだと思った27作品を載せて、「やり尽くした!」という実感があったんです。ただ、その後のゼロ年代から10年代にかけてという時期は、本当に傑作の宝庫で、刊行から4、5年経ったときから「あ、また出来るんじゃないかな?」って思ったんです。それと、刊行後に、私の提唱する「フード理論」をラジオで取り上げていただいたり、それを煮詰めた『ゴロツキはいつも食卓を襲う』(太田出版/2012年)を出させていただくなかで、自分の中で、さらに映像に出てくる食べ物について、整理されたことが大きかったと思います。

フード理論三原則

―― 福田さんといえば、この「フード理論三原則」。今回『おかわり』を制作されるなかで、あらたに加わった「原則」があれば教えてください。

福田 サブ的なものとして「食べ物でギャグをする人は憎めない」というのがありますが、基本はその3つです。なので、その三原則を、各作家さんがどう扱ってらっしゃるかっていうところが読みどころだなと思っています。たとえば、羽海野チカさんやよしながふみさんといったまんが家さんは、「フード性善説」の方なんですね。

「きょうの猫村さん」 ほし よりこ
猫村さんの背中模様のラングドシャ

―― フード性善説!?

福田 つまり、フードの力の「善の部分」を信じているということです。そういった作家さんの作品のなかでは、登場人物が食べ物を食べたら、それは前向きであるということ。たとえば、ほしよりこさん。『きょうの猫村さん』は、猫村さんがフードの「善の部分」を信じていて、みんなに無理やり押しつけがましく食べさせようとするという、猫村さんの戦いが描かれています。反対に、そうとはいえないまんが家さんもいます。『まんがキッチン』で取り上げた方でいうと、やまだないとさん。「食べたからといってそんなことでは癒されないんだよ」と来る。だから読後の絶望もより深い。『おかわり』でいうと、水城せとなさんでしょうか。そういうことを読み込んでいくのが、一番おもしろいと思っています。

―― 今回取り上げられているのは、30作品+α。ボリュームたっぷりですが、扱う作品はどんな基準で選ばれたのでしょう。

福田 公平というか、俯瞰してみたまんが史で名作を選んでいるわけじゃなくて、あくまでも私がリアルタイムでおもしろいと思ったものを選んでいます。だから、本書の副題で、「Recipes, Essays and Comics for You」とあるのですが、もっといえば「for Me」なんですね。前回『まんがキッチン』では「for Girls」と銘打っていたので、それに比べると間口が広がったのですが、とはいえ、「女子が読んで面白いまんが」という目線はかわらず強く出ていると思います。
「女子まんが」というと、「女子が苦しんで恋愛していたり、仕事しているまんがでしょ?」といわれることもありますが、そうじゃないんですよね。私としては、女子が喜んで読むまんがであれば、「女子まんが」だと思うんです。そういう意味では、『テニプリ』『弱虫ペダル』も、「女子まんが」です!

―― 作家の性別やテーマだけで「これは男子まんがで、あれは女子まんが」と決めつけるのではなくて、「誰が喜んで読んでいるのかで語ろう!」ということですね。

福田 そうです。それでいえば、私からすると、『進撃の巨人』こそは「女子まんが」なのです。

まんがキッチン おかわり

まんがキッチン
おかわり

著者:福田里香
発行:太田出版
発売:2014.5.29
価格:1,600円+税

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『フード理論』で読み解くとまんがが100倍おもしろくなる。おいしい名作まんがから生まれた、かわいいお菓子レシピ&愛たっぷりのエッセイ集!諌山創、雲田はるこ、中村明日美子、水城せとな、豪華ロングインタビュー。

まんがキッチン[文庫]

まんがキッチン
[文庫]

著者:福田里香
発行:文藝春秋
発売日:2014.03
価格:790円+税

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おいしくて可愛いレシピ本が文庫サイズで登場! 名作少女まんがをイメージして作った可愛い「お菓子レシピ&エッセイ」本。福田里香×萩尾望都、くらもちふさこ、羽海野チカ、よしながふみら人気漫画家との超豪華対談も収録。

ゴロツキはいつも食卓を襲う<br />フード理論とステレオタイプフード50

ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50

著者:福田里香
挿画:オノ・ナツメ
発行:太田出版
発売日:2012.04
価格:1,280円+税

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福田里香が唱える話題沸騰の「フード理論」、ついに書籍化! オノ・ナツメの小粋なイラスト50点以上収録!

  • プロフィール
福田里香 福田里香

ふくだ・りか。
福岡県生まれ。武蔵野美術大学卒。
お菓子研究家として雑誌や書籍を中心に活躍している。オリジナリティ溢れるレシピ本のほか、独自のフード理論を展開するエッセイなど著書多数。
レシピ本に『フレーバーウォーター』 『自分でつくるグラノーラ』(文化出版局)、『フードを包む』(柴田書店)、エッセイ本に『ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50』(太田出版)などがある。
本書のシリーズ第1弾『まんがキッチン』(アスペクト/文春文庫)も大好評発売中。