『イキガミ様』コミックス刊行記念「何もしてくれない神様のいる世界で」 TAGRO×初代担当編集

TAGROさんの『イキガミ様』が、4年半の歳月を経て、堂々完結...!! コミックス刊行を記念した、ネタバレ必至の赤裸々対談を公開します!! 生き神とはいったいなんだったのか、ジェーニャは何しに海野辺に来たのか...。みなさんの疑問に、TAGROさんと初代担当編集がお答えします。

聞き手:編集部
※この対談はネタバレを大いに含むので、ご注意ください。

2016年5月25日公開

――『イキガミ様』の完結を記念して、TAGROさんと、初代担当編集である小原央明さんにお話をうかがいます。よろしくお願いします。

小原 『イキガミ様』の完結、おめでとうございます。あらためて最後まで通して読んで、すごくおもしろかったです! 完結までずいぶん時間がかかりましたが、やはりこの最終回を描くには、これくらいの時間が必要だったんじゃないかなと思いました。

TAGRO そうですね。

小原 担当としてTAGROさんと次回の話を一緒につくりながらやってきたんですが、最終回のいいアイデアというのがなかなか出てこなかったんですね。それで思いのほか時間がかかってしまいましたが、こういう形で完結を迎えてとてもうれしく思っています。


ここで、『イキガミ様』の登場人物をおさらい!
※クリックで拡大します

イキガミ様=何もしない神様

小原 最終回のアイデアがむずかしかったのは、イキガミ様というのは基本的に何もしない神様なんですよね(笑)。このなんにもしないということをどう考えたらいいのか、というのがとてもたいへんだったんじゃないかなと。最初から「こういう神様だ」と決めてたわけではなかったんですけど、作品の流れに沿ってキャラクターを動かしていったら、イキガミ様が何か神通力を使ったりするのがどうもしっくりこない感じになっていきました。それで、連載の途中で「何もしない神様」というのが、TAGROさんとぼくとのあいだで共通了解としてできあがっていったというか。それにしても、イキガミ様は、みごとに最後まで何もしませんでしたね。

TAGRO 単行本の直しのときは、「ほんとうになんにもしてないよな」という目で生き神の行動を追いました(笑)。
『イキガミ様』はもともと1話読み切りの、ちょっと不思議系のエピソードを連続させていく、という感じでした。小原さんから企画をもらったのが震災前ですね。そのあと東日本大震災があって、連載をはじめられなかった。メンタルも落ちちゃって、お気楽な話を描きたくないなあ、と……。
ようやく腰をあげて、連載開始(2011年11月11日)のちょっと前に、三崎というところに取材に行ったんです。「瀬戸内的な感じの場所、どっかありますか?」と相談したら、三崎という場所がそういう雰囲気を出すためにロケ地でよく使われるという話を聞いたんですね。1話の階段をあがるシーンなんかは、写真を見ながら描いています。

小原 ぼくが直接担当していたのは11話までで、連載の山場の前に退社が決まっていたんです。そのときには作品のだいたいの流れはできていたけど、最後の山場をどうするのかというのだけが白紙でした。それで退社する前に最終回のプロットまで固めておこうということになって、プロットづくりのために、TAGROさんとふたりで都内の旅館で合宿したことがあります。けっこう広い和室で、打ち合わせには向いた部屋だったんですが、敷布団がとにかく薄くて腰が痛くてしょうがなかった。夜中、ぼくが寝ているあいだにTAGROさんがひとりで帰ったという(笑)。

TAGRO 早く始発出ないかなあ、って(笑)。「ごめんなさい」ってメモを残しておきました。

小原 朝起きたときにびっくりしましたよ、いないんだもん(笑)。でも、その合宿でも、ラスト2話は決まらなかった。とくにたいへんだったのは、英恵とイキガミ様の会話です。どういうふうにすれば、英恵の気持ちの落としどころとして説得力が出るか。

――『イキガミ様』にはもともと同名の短編(『Don’t Trust Over 30』所収)がありますね。小原さんのほうから提案されたんですか?

小原 ぼくが最初に提案したのは、SFやりませんか、ということでした。

TAGRO そうでしたっけ。ぜんぜん覚えてない(笑)。
当時は『変ゼミ』の連載中だったので、安全策で、ページ数が短くていいものを考えていたんですね。その代わり、週1とか隔週でやりますよといっていました(笑)。ぜんぜんできませんでしたけど。登場人物も決めてなくて、どうして2話で急に、英恵以下キャラが出てきたのか覚えてないんですよ。

イキガミ様
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著者:TAGRO
発行:太田出版
価格:680円+税
搬入日:2016.5.23

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DON’T TRUST OVER 30
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著者:TAGRO
発行:講談社
発売日:2009.12
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憎むよりも先に。悲しむよりも先に。怒りよりも先に。嘆くよりも先に・・・。異才・TAGROの珠玉の短編集! 読み切り版「イキガミ様」も収録!

マフィアとルアー(文庫版)

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(文庫版)

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変ゼミ(1)
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著者:TAGRO
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宇宙賃貸サルガッ荘(1)

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サルガッ荘(1)

著者:TAGRO
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宇宙戦闘機パイロット、テルは一度迷い込んだら二度と出られない宇宙船の墓場、サルガッソーに遭難し、魔女のメウに助けられる・・・。魔女も恋する四畳半スペースオペラ!

  • プロフィール
TAGRO たぐろ

「ヤングキングアワーズ」誌上にて『MISSION OUTER SPACE』でデビュー。多彩な画風・作風で読者より強い支持を集める。2010年に『変ゼミ』がアニメ化。代表作に『変ゼミ』 『宇宙賃貸サルガッ荘』 『マフィアとルアー』 『Don't trust over 30』 『パンティ&ストッキングwith Gaterbelt』等。